東京の音楽大学4校の総合型選抜を比べる。実技を課さない専攻と、書く課題の正体
東京音楽大学・国立音楽大学・武蔵野音楽大学・桐朋学園大学の総合型選抜を2027年度要項で比べました。配点を公開しているのは東京音大だけ。小論文がない大学、専願でない大学、推薦書が必要な総合型があります。各大学の詳細は個別記事にまとめています。
音楽大学の入試は実技だけで決まる、と思われがちです。総合型選抜の要項を開くと、そうではないことがわかります。
★演奏を出さない専攻があり、そこでは書く課題が中心になっています。東京音楽大学のミュージックビジネス・テクノロジー専攻は、総合型選抜の試験科目が論文課題90分と口述試問の2つだけです。武蔵野音楽大学のアートマネジメントコースは、面接・書類審査・課題小論文50分・口頭試問で、実技も楽典もありません。
演奏で受ける専攻でも、書類は軽くありません。国立音楽大学は★1000字程度の学修計画書を全専修に課しますし、桐朋学園大学は学修計画書の書類審査を選考方法に明記しています。
この記事は、東京の音楽大学4校を★横に並べて違いを見るためのものです。★各大学の詳しい内容は、それぞれの個別記事にまとめています。
| 大学 | 個別記事 |
|---|---|
| 東京音楽大学 | 配点が公開されていて、実技のない専攻は論文100点+口述100点の200点満点 |
| 国立音楽大学 | 小論文はなく、勝負は1000字の学修計画書と口頭試問 |
| 武蔵野音楽大学 | 音大なのに実技を課さないコースが多く、課題小論文の過去問が公開されている |
| 桐朋学園大学 | 区分が4つあり、小論文を書くのはミュージコロジー専攻だけ |
必ず最新の学生募集要項で確認してください。日程・募集人員・選考方法は年度によって変わります。各大学の要項の確認日は個別記事に書いています。
4校を並べる
| 東京音楽大学 | 国立音楽大学 | 武蔵野音楽大学 | 桐朋学園大学 | |
|---|---|---|---|---|
| ★区分の数 | ★4(日程①②+秋学期A・B) | ★4(A・B・C日程+特別給費) | ★4回(第1〜4回) | ★4(総合型入試A・B/特待生/飛び入学/外国人留学生) |
| ★募集人員 | ★140名 | ★90名 | ★120名 | ★A日程25名、ほか若干名 |
| ★専願 | ★専願制 | ★専願 | ★専願ではない | ★専願(飛び入学のみ明文なし) |
| ★配点 | ★公開(各100点/各50点/ABC) | ★非公開 | ★非公開(要項96ページに「配点」0件) | ★非公開(4区分69ページに0件) |
| ★小論文の有無 | ★あり(論文課題90分ほか) | ★なし(総合型選抜の章に0件) | ★あり(課題小論文50分・90分) | ★ミュージコロジー専攻のみ(90分) |
| ★過去問 | ★公開(模範解答・出題意図つき) | ★非公表(楽典は一般選抜の過去問を代用) | ★公開(設問文のみ3年分) | ★公開だが一般選抜のもの |
| ★推薦書 | ★音楽文化教育専攻のみ必須(学校長推薦ではない) | ★不要 | ★不要 | ★飛び入学は2通必須 |
| ★受験料 | 28,000円(MBTは20,000円) | 43,000円 | 35,000円(ヴィルトゥオーゾ40,000円) | 55,000円 |
| ★会場 | 中目黒・代官山/池袋 | ★立川の1か所のみ | ★江古田の1か所のみ | 仙川/調布 |
| ★オンライン | ★ピアノ系は非対面式を選べる | ★不可(対面のみ) | − | ★なし |
実技を課さない専攻は4校すべてにある
★「音大だから全員に実技がある」は要項と合いません。
| 大学 | 総合型選抜で実技がない専攻・コース |
|---|---|
| ★東京音楽大学 | ★ミュージックビジネス・テクノロジー専攻(論文課題+口述試問の200点満点) |
| ★国立音楽大学 | ★音楽デザイン専修(口述試験+楽典)/★音楽情報専修(プレゼンまたはパフォーマンス+面接。★楽典すらなし) |
| ★武蔵野音楽大学 | ★オープンメジャーシステム/音楽学コース/アートマネジメントコース(★実技があるのは音楽教育コースだけ) |
| 桐朋学園大学 | ★ミュージコロジー専攻(専攻小論文+専攻外国語+面接。聴音を受けない場合は面接時に楽器等演奏) |
★楽典を課さない専攻も各校にあります。国立音大は作曲・音楽療法・音楽情報の3専修、桐朋学園は作曲(創作)と指揮、東京音大はピアノ系・音楽文化教育・ミュージックビジネス・テクノロジー、武蔵野は総合型選抜の全コースです。
書く課題の分量を並べる
| 大学・専攻 | 課題 | 時間 | 分量 |
|---|---|---|---|
| ★東京音大 ミュージックビジネス・テクノロジー | 論文課題 | ★90分 | ★1200〜1600字程度 |
| ★東京音大 音楽文化教育 | 論文課題(★課題文つき) | ★90分 | ★1200〜1600字程度 |
| 東京音大 音楽文化教育 | ★英語課題(事前提出) | − | ★400語以上800語程度(2026年度実績)・★4項目指定 |
| 東京音大 作曲(MM)・指揮 | 小論文 | 1時間 | 字数指定なし |
| ★国立音大 全専修 | ★志望理由を含む入学後の学修計画書 | − | ★1000字程度(25字×40行・★黒ボールペン手書き) |
| ★武蔵野 音楽学コース | 課題小論文 | ★90分 | ★字数指定なし |
| 武蔵野 オープンメジャー/音楽教育/アートマネジメント | 課題小論文 | ★50分 | 字数指定なし(アートマネジメントのみ★「字数自由」と明記) |
| ★桐朋学園 ミュージコロジー | 専攻小論文 | ★90分 | ★字数指定なし |
| 桐朋学園 ミュージコロジー | ★専攻外国語(英・独・仏から1つ、★辞書可) | 90分 | − |
| 桐朋学園 作曲(MSD) | 作品解説 | − | ★A4用紙2枚以内 |
| 東京音大 作曲(芸術音楽コース) | 提出作品の解説 | − | ★作品ごとに800字程度 |
| 武蔵野 作曲コース | 作品の解説 | − | ★200字程度(書式自由・手書き可) |
★字数が明記されているのは東京音大の論文課題(1200〜1600字)と国立音大の学修計画書(1000字)だけです。武蔵野と桐朋の小論文には字数の記載がありません。
過去問の公開状況が4校でまったく違う
| 大学 | 公開状況 |
|---|---|
| ★東京音楽大学 | ★2026年度は問題+模範解答+出題意図をサイトから直接ダウンロード。2024〜2026年度は請求フォーム、2022〜2026年度は受験講習会参加者に冊子を無料配布 |
| ★国立音楽大学 | ★総合型選抜は非公表。ただし★「楽典については、一般選抜(A日程)過去問題を参考に対策するとよいでしょう」と大学自身が代わりを指定。★出題意図は専修ごとに公開 |
| ★武蔵野音楽大学 | ★2024・2025・2026年度の総合型選抜問題集を公開。ただし中身は★課題小論文の設問文だけ(課題文はなし)。★解答例・採点基準は非公開 |
| ★桐朋学園大学 | ★2019〜2026年度の8年分を公開。ただしミュージコロジーの小論文は★「大学一般選抜(対面)」のもので、★総合型選抜の問題は公開されていません |
★出題意図まで公開しているのは東京音大と国立音大です。東京音大の音楽文化教育専攻は★英語・論文課題・口述試問の3つすべてに出題意図があり、論文課題には★「個人の経験にとどまらず」と明記されています。
配点を公開しているのは東京音大だけ
| 大学 | 配点 |
|---|---|
| ★東京音楽大学 | ★公開。論文課題・実技・英語課題・面接・口述試問=各100点、楽典・聴音・新曲視唱・コールユーブンゲン=各50点、「面接」と「創作」=ABC3段階 |
| 国立音楽大学 | ★非公開。「配点」の語がヒットするのは一般選抜A日程の表1ページだけ |
| 武蔵野音楽大学 | ★非公開。要項96ページ全文に「配点」が0件、「◯点満点」も0件 |
| 桐朋学園大学 | ★非公開。4区分69ページに「配点」「満点」「〇〇点」「合計点」「総点」が0件 |
★東京音大は満点が計算できます。ミュージックビジネス・テクノロジー専攻は★200点満点、音楽文化教育専攻は★400点満点です。
専願かどうか
★武蔵野音楽大学だけ専願ではありません。公式サイトに「★※本学を専願とすることを条件としません。」と明記されています(学校推薦型選抜(指定校)は専願)。
ほかの3校は専願です。東京音大は要項の表紙に「[専願制]」、国立音大は出願資格(2)に「第1志望として本学での勉学を強く希望すること(専願)」、桐朋学園は「本学への入学を専願とする者」と書かれています(★桐朋の飛び入学だけ「専願」の明文がありません)。
推薦書があっても総合型選抜
★推薦書の有無では総合型と学校推薦型を区別できません。
| 大学 | 推薦書 |
|---|---|
| ★東京音楽大学 | ★音楽文化教育専攻のみ必須。ただし推薦者は★「親族・本学専任教職員以外」で学校長推薦ではありません |
| 国立音楽大学 | ★不要(出願書類一覧に項目がありません) |
| 武蔵野音楽大学 | ★不要 |
| ★桐朋学園大学 | ★飛び入学は2通必須(★専攻実技指導者+高等学校長、いずれも厳封)。出願資格そのものが「高等学校長等が責任をもって推薦するもの」 |
★東京音大の器楽専攻・吹奏楽アカデミー専攻には「指導者の所見」(個人的な指導者・学校の音楽科教員・部活動顧問等1名が作成、厳封)があります。これも学校長推薦ではありません。
★見分け方は大学ごとに違います。東京音大と桐朋学園は★学校長推薦かどうか・指定校かどうか、国立音大は★学校推薦型選抜の要項が非公開(指定校と附属高校のみ)、武蔵野は★書類審査があるか・楽典と外国語を課さないかです。
出した書類が口頭試問の材料になる大学
★書いて出したものを後から口で説明させられる大学が2校あります。
| 大学 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| ★国立音楽大学 | ★音楽文化教育学科の4専修+音楽デザイン専修 | 「提出された★『志望理由を含む入学後の学修計画書』『これまでの音楽を含む学びや活動の報告書』を踏まえた口頭試問を行います」 |
| ★武蔵野音楽大学 | ★オープンメジャー/音楽学/音楽教育/アートマネジメント | ★提出書類+当日の課題小論文の両方が試問の材料。★一般選抜では提出書類が使われません |
★武蔵野は「当日書いた小論文」まで口頭試問の材料になります。書いた直後にその内容を聞かれる前提で、口で説明できることを書く必要があります。
★音楽教育コースにはさらに3〜4分のスピーチがあり、内容は「高校在学時の音楽活動」と「入学後の抱負」です(★音楽活動は学校外のことでもかまいません)。
試験免除のしくみ
★4校のうち3校に、講習会の認定試験による免除制度があります。
| 大学 | 制度 | 注意 |
|---|---|---|
| ★東京音楽大学 | ★夏期受験講習会の認定試験(無料)で楽典・聴音・新曲視唱を免除 | ★要項は「夏期」、リーフレットは「年2回(8月・12月)」と食い違っています |
| ★国立音楽大学 | ★くにおん楽典検定(無料)で楽典を免除。★過去問12回分が自動採点つきで公開 | ★C日程は直前の冬期講習の検定結果を使えません。★出願時の申請が必要。高2で冬期に合格すれば2028年度入試にも持ち越せます |
| ★桐朋学園大学 | ★夏期講習の認定試験(無料)でソルフェージュ・楽典を免除 | ★2027年度から冬期講習の認定試験が廃止され、機会は★2026年7月30日の1回だけでした |
★武蔵野音楽大学に免除制度はありません(総合型選抜では楽典・外国語をそもそも課さないためです)。
伴奏者を自分で手配するかどうか
| 大学 | 伴奏 |
|---|---|
| ★国立音楽大学 | 声楽は★「伴奏者および伴奏譜は本学で用意します」。ただし★特別給費奨学生総合型選抜だけ「伴奏者は志願者が同伴する」 |
| ★武蔵野音楽大学 | 声楽は★「本学で選任した者が伴奏をする」(★伴奏用楽譜を出願時に提出)。管楽器・打楽器は伴奏なし。★自分で手配するのは弦楽器ヴィルトゥオーゾで伴奏をつけたい場合だけ |
| 桐朋学園大学 | 総合型入試は★伴奏譜を出願書類として提出。★特待生・飛び入学は伴奏者を各自で同伴 |
★国立音大と桐朋学園は、通常の総合型選抜と特待生系で扱いが逆になります。
学費を並べる
入学初年度の納入額(参考)です。
| 大学 | 入学手続時/初年度 |
|---|---|
| 東京音楽大学 | 春学期合計 ★1,121,000円〜1,366,000円(専攻による) |
| 国立音楽大学 | 入学手続時 ★1,322,000円/年額合計 ★2,377,000円 |
| 桐朋学園大学 | 入学手続時納入額 ★1,380,800円 |
★東京音大は音楽文化教育・ミュージックビジネス・テクノロジーが最も安く、作曲「ミュージック・メディアコース」が最も高いという構成です。
★学費免除とセットになった区分があります。東京音大の★ピアノ演奏家コース「x課題」(学費の全額または一部免除。★x課題を選んだ人だけ出願後に書類審査があり、落ちると日程①を受験できません)、国立音大の★特別給費奨学生総合型選抜(全額/半額免除は若干名、★30万円免除は15名程度)、桐朋学園の★特待生・飛び入学(初年次の授業料全額または一部免除)です。
どこから手をつけるか
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | ★志望専攻の試験科目を要項の表で1行ずつ確認する。実技の有無・楽典の有無が専攻ごとに違います。大学サイトの要約だけでは足りません(東京音大・桐朋学園はサイトと要項で記述が食い違っています) |
| 2 | ★その専攻に書く課題があるか確認する。論文課題・小論文・学修計画書・作品解説のどれが課されるかで準備がまるで違います |
| 3 | ★公開されている過去問を全部読む。東京音大は模範解答・出題意図つき、武蔵野は設問文だけ、桐朋は一般選抜のもの、国立音大は非公表(楽典のみ一般選抜で代用) |
| 4 | ★出題意図を読む。東京音大と国立音大は評価の観点を文章で公開しています |
| 5 | ★免除制度の申込期限を確認する。講習会の申込は入試よりずっと早く、桐朋学園は2026年7月30日の1回だけでした |
| 6 | ★本番より前に来る締切を洗い出す。東京音大の音楽文化教育専攻の英語課題は9月19日(郵送+メールの両方)、国立音大の特別給費1次は10月5日必着、受験上の配慮の申請はさらに前です |
まとめ
- ★実技を課さない専攻は4校すべてにあります。東京音大のミュージックビジネス・テクノロジー、国立音大の音楽デザイン・音楽情報、武蔵野のオープンメジャー・音楽学・アートマネジメント、桐朋のミュージコロジーです
- ★配点を公開しているのは東京音大だけ。ミュージックビジネス・テクノロジーは★200点満点、音楽文化教育は★400点満点です
- ★国立音大の総合型選抜に小論文はありません。代わりに★1000字の学修計画書(黒ボールペン手書き)が全員必須です
- ★武蔵野音楽大学だけ専願ではありません(「本学を専願とすることを条件としません」と明記)
- ★推薦書の有無では総合型と学校推薦型を区別できません。東京音大の音楽文化教育と桐朋の飛び入学には推薦書があります
- ★過去問の公開状況が4校でまったく違います。東京音大は模範解答・出題意図つき、武蔵野は設問文だけ、桐朋は一般選抜のもの、国立音大は非公表です
- ★国立音大と武蔵野では、出した書類が口頭試問でそのまま問われます。武蔵野は当日書いた小論文まで材料になります
- ★本番より前に来る締切に注意。東京音大の英語課題は9月19日に郵送とメールの両方、国立音大の特別給費1次は10月5日必着(消印有効ではありません)
各大学の詳しい内容は個別記事にまとめています。東京音楽大学/国立音楽大学/武蔵野音楽大学/桐朋学園大学。
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