女子大の総合型選抜。3校を並べると、出願のハードルも当日の試験もまるで違う
津田塾大学・東京女子大学・日本女子大学の総合型選抜を1枚で比べます。津田塾は要項が6本に分かれて当日が6通り、東京女子は評定3.7と英語4技能が出願条件、日本女子は16学科すべてで実施して評定も推薦も不要。出願のハードル、当日の試験、配点の公開ぶりを表で並べ、各大学の詳しい記事へつなぎます。
女子大の総合型選抜は、大学ごとの個性がはっきり出ます。とくに出願のハードルが3校でまったく違います。
この記事は、3校を1枚で比べて、自分がどこを受けられるかを決めるためのものです。それぞれの中身は、大学ごとの記事にまとめました。
- 津田塾大学の総合型選抜——要項が6本に分かれ、当日やることが6通り違う
- 東京女子大学の総合型選抜——評定3.7と英語4技能が出願条件で、当日は80分で1,200字
- 日本女子大学の総合型選抜——16学科すべてで実施、当日の試験は10通りに割れる
必ず志望大学・学科の最新の入学試験要項で確認してください。日程・実施学科・選考方法は年度によって変わります。この記事は2027年度の各大学の入学試験要項によります。2026年10月4日に確認しました。
出願できるかどうかが、まず違う
| 津田塾大学 | 東京女子大学 | 日本女子大学 | |
|---|---|---|---|
| 評定の基準 | なし | ★3.7以上(ディスカッション型) | なし |
| 英語資格 | 探究型だけ必須(英検CSE1950など)。4技能型は不要 | ★4技能で必須。1技能でもスコアがないと出願できない | 不要 |
| 既卒 | 区分による(国際関係は2年まで) | 不可(ディスカッション型)/可(数学的思考力型・満22歳未満) | 可(年数制限の記載なし) |
| 学校長の推薦 | 不要 | 不要 | 不要 |
いちばんハードルが高いのが東京女子大学です。評定3.7と英語4技能の両方を満たさないと、出願そのものができません。しかもTOEICを使うならL&RとS&Wの両方が要ります。
いちばん開いているのが日本女子大学です。評定も推薦も不要で、既卒も出願できます。
津田塾大学は区分で逆転します。英語英文学科の探究型には英語スコアの基準があり、4技能型にはありません(この2つは併願できません)。
規模と実施範囲
| 津田塾大学 | 東京女子大学 | 日本女子大学 | |
|---|---|---|---|
| 区分 | 6区分(要項も6本) | 5区分(知のかけはし2型+社会人・帰国生・外国人留学生) | 1区分 |
| 募集人員 | 85名 | 60名(知のかけはし) | 183名 |
| 実施 | 学芸学部の数学科を除く | 文系5学科+情報数理科学科 | ★16学科すべて |
日本女子大学は16学科すべてで実施していて、183名と最大です。
東京女子大学は、社会人・帰国生・外国人留学生入試も2027年度から総合型選抜に分類されました(2026年度までは「その他の選抜」でした)。
当日やることが、学科・区分でばらける
| 当日の試験 | |
|---|---|
| 津田塾大学 | ★6通り。面接のみ(総合政策)/小論文40分(情報科学)/小論文60分(国際関係)/プレゼン10分+面接20分(多文化)/プレゼン10分+質疑応答(探究型)/英語の講義+ライティング+ディスカッション+面接(4技能型) |
| 東京女子大学 | 全員共通。30分の講義を聞いて、80分で要旨400字+小論文800字。その後グループディスカッション40分と面接15分程度 |
| 日本女子大学 | ★10通り。小論文60分が8学科/小論文40分+適性検査60分が理学部2学科/適性検査のみが3学科/空間表現130分が建築デザイン/心理学科は筆記ゼロ |
東京女子大学だけが「全員同じ」です。志望学科を問わず同じ講義を聞きます。準備の的が絞りやすい。
津田塾と日本女子は、学科を選んだ瞬間に準備が全部変わります。
名前にだまされないほうがいい試験
日本女子大学の「適性検査(基礎学力)」は、学科によって中身が論述です。アドミッション・ポリシーにこう書かれています。
- 経済学科:「社会問題や経済問題に関する資料を理解し、それと関連づけながら自らの意見を発信する能力があるかどうかを見る」
- 教育学科:「資料を読み取る力、論理的に考える力、自分の意見を文章で表現する力を判定する」
「小論文がないから楽」とは言えません。一方、同じ「適性検査」でも日本語日本文学科の90分は知識型(文学の基礎的な知識)です。
出願時に書く量
| 出願時に書くもの | |
|---|---|
| 津田塾大学 | 志望理由書600字(探究型)〜2,000字(多文化)。事前課題があるのは情報科学と総合政策の2区分(+探究型の探究活動報告書1,200字) |
| 東京女子大学 | 志望理由書1,200字+活動報告書1,000字=2,200字を手書き |
| 日本女子大学 | 全学科共通課題(自己アピール1,000字+志望理由書1,000字)。加えて4学科に学科別課題(日本語日本文の研究計画書1,200〜1,600字、歴史文化1,800〜2,000字、児童の要約800字+理由400字+考え800字、経済の「自由表現」2枚) |
日本女子大学の日本語日本文学科は、高校3年の9月に卒業論文の設計図を書かせます。6分野から1つ選び、研究のテーマ・背景・方法を立てて1,200〜1,600字。研究計画書そのものです。
津田塾の総合政策学科は、当日が面接だけなので、8月1日に公開される事前課題(資料読み取り200字+論述1,000字)が実質の筆記試験です。
配点が公開されているか
| 配点 | |
|---|---|
| 津田塾大学 | 6区分とも非公表 |
| 東京女子大学 | ディスカッション型は非公表(数学的思考力型は300点を公表)。かわりに「学力の3要素」との関係を◎○△で公表 |
| 日本女子大学 | 非公表。成績開示もなし |
3校とも配点を出しません。
ただし東京女子大学の◎○△の表が、実質的な重みの公表になっています。知識・技能が◎なのは外国語資格・検定試験の成績だけで、当日の4つの試験(要旨・小論文・グループディスカッション・面接)はすべて△。知識は出願条件で先に担保し、当日は思考力だけを見るという設計がはっきり読み取れます。
書類選考で、どれだけ落ちるか
ここは数字が出ています。
| 大学・学科 | 志願 | 1次通過 | 通過率 |
|---|---|---|---|
| 津田塾 総合政策 | 281 | 117 | 約42% |
| 津田塾 学芸学部(5区分計) | 98 | — | 実質1倍台前半 |
| 日本女子 心理 | 60 | 13 | 21.7% |
| 日本女子 社会福祉 | 100 | 29 | 29.0% |
| 日本女子 英文/教育/数物情報科 | 98/34/49 | 同数 | 100% |
| 東京女子大学(全体) | 254 | 191 | 約75% |
日本女子大学の心理学科は5人に1人まで絞られます。しかもこの学科は当日の筆記がゼロなので、自己アピール1,000字+志望理由書1,000字だけで判定されることになります。
津田塾の総合政策学科も6割近くが書類で落ちます。一方、学芸学部の各学科は実質1倍台前半です。
東京女子大学は全体では通りやすく見えますが、心理学科だけ二次受験17→合格4と突出して厳しい。
過去問の出し方
| 公開状況 | |
|---|---|
| 東京女子大学 | ★8年度分(2019〜2026)の「講義内容+出題の意図+設問文」が1本のPDF。さらに講義動画も3本公開。動画と合わせれば当日とほぼ同じ体験ができます |
| 津田塾大学 | 「問題・解答/解答例・講評(出題の意図)」を2年度分公開(閲覧にユーザー登録が必要) |
| 日本女子大学 | 「総合型選抜入学試験ガイド」に掲載。閲覧にパスワード請求が必要 |
東京女子大学の出し方が突出しています。講義の要約と「出題の意図」を毎年書いているのは異例です。
それぞれの「ここだけ」
津田塾大学——多文化・国際協力学科は、出願前にフィールドワークを済ませていないと受けられません。志望理由書2,000字に研究テーマを書き、当日は自分が実際に行った観察・聞き取りのデータを使って10分発表します。ただし要項は「身近な事例でよい、高校の自由研究でもよい」と明記しています。
東京女子大学——講義メモ用紙が配られ、要旨・小論文・グループディスカッションの3場面で使えます。ただし採点対象外。読む課題文がないので、聞き取りとメモの設計がそのまま得点になります。「挑戦する知性」奨学金は校長推薦が必要で1校1名、辞退すると翌年度からその高校の推薦枠が止まることがあります。
日本女子大学——国際文化学科のプレゼンは、英語・ドイツ語・フランス語・中国語・韓国語の5言語から選べます(質疑応答も原則その言語)。ただし経済・国際文化は資料・メモの持ち込みが一切禁止で、手ぶらで話します。建築デザイン学科の「空間表現」130分は、絵を描いてその構成意図を文章で説明する試験です。
2027年度の変更
- 日本女子大学:★経済学部 経済学科を新設(定員99名)。家政学部 家政経済学科は募集停止。2026年度は家政経済が総合型を実施していました
- 東京女子大学:知のかけはしが2型に分割。ただし総枠60名は変わらず、情報数理科学科の5名が切り出されただけです。社会人・帰国生・外国人留学生入試が総合型選抜に分類変更されました
- 津田塾大学:情報科学科の募集人員が「若干名」から10名に。2028年度から英語英文学科に「総合型選抜11月期(他大学併願可)」を新設予定
どう選ぶか
- 評定が足りない/既卒 → 日本女子大学(評定も推薦も不要、既卒可)、津田塾大学(評定の条件なし)
- 英語の資格を持っている → 東京女子大学(4技能必須だが、持っていれば知識の評価はここで完結)、津田塾の探究型
- 英語で勝負したいがスコアがない → 津田塾の英語4技能型(スコアの下限なし)
- 書く量を減らしたい → 日本女子大学の心理学科(当日の筆記ゼロ)。ただし書類だけで5人に1人
- 準備の的を絞りたい → 東京女子大学(全員同じ講義・同じ試験)
- 探究やフィールドワークをやってきた → 津田塾の多文化・国際協力、探究型
- 外国語でプレゼンしたい → 日本女子大学の国際文化学科(5言語から選択)
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