大学別対策の作り方。過去問から出題意図を逆算する5ステップ
「傾向と対策」を人から教わるのではなく、自分で作る方法。募集要項と過去問だけを材料に、志望校が何を評価しているのかを読み解く手順を解説します。
大学別の対策情報は、探すと出てきます。しかし自分の志望校がマイナーであるほど、情報は見つかりません。
そこで必要になるのが、対策を自分で作る力です。材料は2つだけで足ります。募集要項と過去問です。
ステップ1:募集要項の「求める学生像」を写す
まず、志望校の募集要項(またはアドミッション・ポリシー)から、求める学生像の記述をそのままノートに書き写してください。 読むだけでは足りません。写すと語句に気づきます。
たとえば次の2校は、似ているようで求めているものが違います。
- A校「主体的に学び続ける意欲を有する者」
- B校「多様な他者と協働できる者」
A校は個人の探究、B校はチームでの経験を書くべきだと分かります。同じ志望理由書を使い回してはいけない理由がここにあります。
ステップ2:過去問を3年分並べる
小論文の過去問は、多くの大学が公表しています。入手経路は次のとおりです。
| 経路 | 備考 |
|---|---|
| 大学の入試情報ページ | 最も確実。「過去問題」「入試問題」の項目を探す |
| 大学の資料請求 | 郵送で問題冊子を送ってくれる大学がある |
| オープンキャンパス | 過去問配布や解説を行う大学が多い |
| 高校の進路指導室 | 赤本や過去の受験報告が保管されている |
公表していない大学もあります。その場合は、その大学の学部の教育内容から出題を推測するしかありません。ステップ4で扱います。
ステップ3:出題形式を分類する
3年分を並べたら、次の観点で分類します。
- 形式:課題文型/テーマ型/資料分析型/志望理由型
- 字数:400字/600字/800字
- 時間:60分/90分
- 設問数:要約+意見か、意見のみか
ここで3年とも同じ形式なら、その形式だけを練習すれば足ります。 練習の効率が何倍にも変わります。
形式がばらついている大学の場合は、字数と時間から1分あたりに書くべき字数を出しておいてください。60分800字なら、構成に15分使っても間に合う計算になります。
ステップ4:テーマの共通項を探す
3年分の出題テーマを並べると、たいてい共通点が見つかります。
- 3年とも医療者と患者の関係を扱っている
- 3年とも地域社会の課題を扱っている
- 3年とも科学技術と倫理を扱っている
この共通項が、その学部が学生に考えてほしいことです。 ここが分かれば、準備すべき背景知識の範囲が一気に絞れます。
過去問が手に入らない場合は、代わりにその学部の教員の研究テーマを大学サイトで見てください。出題者は多くの場合その学部の教員なので、関心の方向は近くなります。
ステップ5:自分の材料と対応させる
最後に、ステップ1で写した学生像と、ステップ4で見つけたテーマに対して、自分のどの経験を当てるかを決めます。
紙に2列で書くのが分かりやすい方法です。
| 大学が求めているもの | 当てる自分の経験 |
|---|---|
| 主体的に学び続ける意欲 | 2年の秋から続けている〇〇の記録 |
| 医療者と患者の関係への関心 | 祖母の通院に付き添ったときの気づき |
対応が埋まらない欄が出たら、そこがその大学に対するあなたの弱点です。出願前に気づけるだけでも価値があります。
注意:ネットの「傾向」を鵜呑みにしない
大学別対策の情報は、古いまま残っていることが多くあります。入試制度は毎年変わります。
必ず、最新の募集要項で裏を取ってください。 字数・時間・出題形式は、前年から変わることが珍しくありません。ネットの情報は仮説として扱い、一次情報で確認する。これは探究活動の作法と同じです。
まとめ
- 募集要項の「求める学生像」を書き写す。読むだけでは気づかない
- 過去問3年分を、形式・字数・時間・設問数で分類する
- テーマの共通項が、その学部の関心そのもの
- 過去問がなければ、その学部の教員の研究テーマを見る
- 大学が求めるものと自分の経験を、2列で対応させる
- ネットの傾向情報は、必ず最新の募集要項で裏を取る