総合型選抜で保護者がやってはいけない5つのこと
良かれと思ってやったことが、合格から遠ざけることがあります。志望理由書の代筆から進路への口出しまで、指導の現場で見てきた保護者の関わり方を整理しました。
総合型選抜は、一般入試よりも保護者の関わり方が結果に影響します。書類と面接が中心で、家庭での会話がそのまま材料になるからです。
そして影響が大きいぶん、良かれと思ってやったことが逆に働く場面もあります。現場で繰り返し見てきたものを5つ挙げます。
1. 志望理由書に手を入れる
最も多く、最も影響が大きいものです。
保護者が直した書類は、読めばだいたい分かります。高校生が使わない語彙が混ざるからです。そして面接で必ず崩れます。書類が良かったぶん、期待値との落差で減点されます。
書類を見ること自体は問題ありません。直すのではなく、質問してください。
「なんでそう思ったの?」 「それって具体的にはどういうこと?」 「その話、前にしてくれたことと違わない?」
この3つだけで、書類の具体性は上がります。答えるのは本人なので、面接でも崩れません。
2. 「そんなことより勉強しなさい」と言う
志望理由書の材料は、本人が「これは書いても意味がない」と思っている話の中にあります。
- 部活で揉めたときの話
- アルバイト先でクレームを受けた話
- 祖父母の病院に付き添ったときに感じたこと
こうした話を一度でも遮られた経験があると、生徒は材料を出さなくなります。**話してもらえない家庭の生徒は、書類が抽象的になります。**これは能力の差ではなく、材料の差です。
3. 併願校を勝手に増やす/減らす
総合型選抜は出願書類の作成に時間がかかります。1校あたり、志望理由書・活動報告書・探究のまとめで、まとまった時間が必要です。
5校も6校も出すと、全部が薄くなります。 逆に1校に絞ると、落ちたときの精神的な負担が大きくなります。
現実的な線は3校前後です。ただしこれは本人が決めることで、保護者が数だけを指示すると、書類の質が落ちるか、本人が納得しないまま出願することになります。
4. 面接練習で圧をかける
「そんな答え方じゃ落ちる」と言われた生徒は、面接で当たり障りのない答えしか言わなくなります。
総合型選抜の面接は、正解を答える試験ではありません。考えているかどうかを見る場です。安全な答えに逃げた瞬間に、評価されなくなります。
家庭で練習するなら、評価をせずに「もう少し詳しく」とだけ返してください。
5. 一般入試の準備を止めさせる
総合型選抜の合格発表は11〜12月です。ここで不合格だった場合、一般入試まで2か月しかありません。
総合型に専念させるのは、非常に危険な賭けです。 併願が禁止されている専願枠でない限り、一般入試の勉強は並行して続けるべきです。
同時に、本人には「落ちても道はある」と伝えておいてください。退路がある生徒のほうが、面接で正直に話せます。
保護者にしかできないこと
やってはいけないことを5つ挙げましたが、保護者にしかできない支援もあります。
幼少期のエピソードを提供することです。
本人が覚えていない出来事を、保護者は覚えています。
「あなた、小学生のとき、転校生に毎日話しかけに行ってたよ」
こういう情報は、本人からは絶対に出てきません。そして志望理由書の書き出しに使える、極めて具体的な材料になります。
事実を提供するのは代筆ではありません。材料を渡して、書くのは本人。これが正しい分担です。
まとめ
- 直さない。質問する
- 話を遮らない。材料は雑談の中にある
- 併願校の数は本人に決めさせる。目安は3校前後
- 面接練習で評価しない
- 一般入試の準備は並行して続ける
- 本人が覚えていない幼少期の事実は、保護者にしか出せない材料