探究のテーマが決まらない人へ。興味から探すのをやめると決まります
「好きなこと」から探究テーマを探すと決まりません。テーマが決まらない本当の原因と、身近な違和感から問いを立てる手順を解説します。
探究活動のテーマが決まらない、という相談は毎年いちばん多く受けます。そして相談に来る生徒のほぼ全員が、同じ方法で探しています。
自分の興味から探そうとしている、という方法です。
「興味から探す」が失敗する理由
興味からテーマを探すと、たいてい次のような候補が出てきます。
- 医療に興味があるので、地域医療について
- 教育に興味があるので、日本の教育格差について
- 環境問題に興味があるので、プラスチックごみについて
どれも悪いテーマではありません。ただし、これらはテーマではなく分野です。分野は広すぎて、調べても調べても終わりません。終わらないので、途中で「自分は本当にこれに興味があるのだろうか」と迷い始めます。
そもそも、高校生の時点で確固たる興味を持っている人のほうが少数派です。興味は探究の出発点ではなく、探究の結果として出てくるものだと考えたほうが現実に合っています。
代わりに使うのは「違和感」
探すべきなのは、興味ではなく違和感です。
なんでこれ、こうなってるんだろう
と一瞬でも思ったことがあれば、それが問いの種です。違和感は興味と違って、自分でコントロールできないぶん本物です。
違和感の見つけ方
次の場所を順番に思い返してみてください。
| 場所 | 探すもの | 例 |
|---|---|---|
| 通学路・地元 | 変わったもの、無くなったもの | 商店街のシャッターが増えた |
| 学校 | 納得できていないルール・仕組み | なぜ校則でこれが禁止なのか |
| 家族・アルバイト | 大人が困っていること | 祖父が病院の予約を取れない |
| ニュース | 「本当にそうか?」と思った報道 | 若者の〇〇離れという言い方 |
ポイントは、遠い社会問題ではなく、半径5メートル以内から探すことです。半径5メートル以内なら、あなたは現地に行けます。行けるということは、一次情報が取れるということです。
違和感を「問い」に変える3ステップ
違和感のままでは探究になりません。次の手順で問いの形にします。
ステップ1:事実を1つ確認する
「商店街のシャッターが増えた気がする」で止めず、実際に数える。20店舗中7店舗が閉店、のように数字にします。
ステップ2:「なぜ」ではなく「何が」で問う
「なぜ商店街は衰退したのか」は、調べれば答えが出てしまう問いです。すでに誰かが答えを出しているからです。
代わりに、こう問います。
この商店街で、閉店した店と続いている店を分けているものは何か
答えが用意されていない問いになりました。ここからは、自分で調べるしかありません。
ステップ3:自分にできる調べ方を1つ決める
- 続いている店に3軒、話を聞きに行く
- 10年前の地図と現在を比較する
- 市役所の統計を取り寄せる
アンケートを取る、から始めないでください。何を聞くべきかが分かっていない段階のアンケートは、ほぼ確実に「なんとなく分かっていたこと」しか出てきません。
テーマの良し悪しは「規模」では決まらない
「商店街の話なんて小さすぎるのでは」と心配する生徒がいます。逆です。
大学が見ているのは、テーマの社会的重要度ではありません。そのテーマに対して、あなたがどれだけ手を動かしたかです。
国際的な貧困問題について文献を10冊読んだ生徒より、地元の商店街で7人に話を聞いた生徒のほうが、面接では圧倒的に強い。
なぜなら、後者にはその人しか知らない事実があるからです。面接官が突っ込んで質問したときに答えられるのは、常に後者です。
まとめ
- 興味から探すのをやめる。興味は結果であって出発点ではない
- 半径5メートル以内の違和感を探す
- 「なぜ」ではなく「何が」で問い、答えが用意されていない問いにする
- 規模の大きさより、一次情報を持っているかで評価される
テーマが決まらないのは、あなたに興味がないからではありません。探し方が、そもそも決まらない方法だっただけです。