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金沢大学 KUGS特別入試の対策。出願する前に、大学のプログラムで評価を受ける

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金沢大学のKUGS特別入試を令和9年度の入学者選抜要項と令和8年度の学生募集要項に沿って整理しました。高大接続プログラムの受講が出願資格になる仕組み、10種類に分かれた選抜、TOEICが配点に入る経済学類の小論文、防災・復興人材選抜までを解説します。

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金沢大学の総合型選抜・学校推薦型選抜は「KUGS特別入試」という名前でまとめられています。

そして、この入試のいちばん大きな特徴は試験の中身ではありません。出願資格そのものです。多くの受験生にとって、いちばん先に手を打つ必要があるのがここです。

この記事は、公開されている資料の記載をもとに構造を整理したものです。

必ず最新の募集要項で確認してください。この記事は令和9(2027)年度のKUGS特別入試 学生募集要項(2026年9月16日公開)によります。数字は年度によって変わります。なお医学類・高大院接続入試[特別枠]の令和9年度要項は「申請中」で未公開、一般選抜(前期日程)は11月掲載予定です。 出典:金沢大学 募集要項/令和9(2027)年度 特別選抜(KUGS特別入試)学生募集要項(PDF)/令和9(2027)年度 入学者選抜要項(PDF)。2026年10月4日に確認しました。

出願する前に、出願資格を「取りに行く」

要項にはこう書かれています。

「KUGS特別入試」では、以下の①〜④のいずれかに該当する場合に出願資格を与えます。 ①本学が提供する「KUGS高大接続プログラム」を受講した高校生などが、当該プログラムで課される課題レポートと、高等学校…での探究的な学びや課題意識を持って取り組んだ各種活動に関する課題レポートを提出し、KUGSに基づく評価基準で評価を受け、出願が認められた者

課題レポートを出して、評価を受けて、出願が認められる。その段階を越えて初めて出願できます。

他の入口も用意されています。

出願資格 内容
① KUGS高大接続プログラムを受講し、課題レポートで評価を受けて出願が認められた者
② 科学技術振興機構のグローバルサイエンスキャンパス事業の第一段階を修了した者(金沢大学の場合は第一ステージ修了)
③ 科学技術振興機構の次世代科学技術チャレンジプログラムで研究計画を策定する段階を修了した者(金沢大学の場合はSTELLAプログラム シニアコースのCステージ修了)
④ 本学の科目等履修生〈高校生等用〉制度により1単位以上修得した者

①〜④のどれも、事前に何かを修了している必要があります。高3の秋に「金沢大学の総合型を受けよう」と思い立っても、その時点では出願資格がありません。

★令和8年度には⑤として「デジタル人材選抜Ⅱ・防災・復興人材選抜Ⅱでは、学類が課す志望理由書を出し、合格したら入学前教育の受講を確約すればよい」という抜け道がありましたが、令和9年度で廃止されました。この2つの選抜も①〜④が必要になります。

なお、①〜④に加えて「令和6年4月から令和9年3月までに高校を卒業(見込み)」という条件が付きます。既卒は2年前までです。

同じ設計は熊本大学のKumamoto探究入試にもあります。あちらは大学が開講する地域課題解決セミナー/グローバル課題解決セミナー(オンデマンド)の修了が出願要件で、セミナーの最終課題がそのまま面接の土台になります。

KUGS高大接続プログラムの流れ

要項に、受講から入試までの流れが書かれています。

KUGS高大接続プログラムポータルサイトからエントリー → 課題レポート「高校での学び」を提出(高校2年次の9月から提出可能)→ 興味のある個別プログラムを選択・申込・受講 → KUGS Liveセミナー…

高校2年生の9月から動ける設計です。逆に言えば、そこから始めることを大学が想定しています。

要項はプログラムの意図も書いています。

高校生等を対象に「KUGS高大接続プログラム」を年間を通して開催し、課題レポートの提出機会を提供し、その評価結果を受講者に通知するやり取りを通じて、入学までの間に本学での学びに必要な能力・資質及び意欲の成長を促します。

レポートを出す → 評価が返る → また出すというやり取りが制度になっています。書く練習の機会が、入試の一部として用意されている珍しい設計です。

KUGS特別入試は6つ。超然特別入試は別の要項

ここは混同しやすいので、要項の言葉のとおりに整理します。募集要項p.3に、こう書かれています。

「KUGS特別入試」には、(1)総合型選抜Ⅰ、(2)総合型選抜Ⅱ、(3)学校推薦型選抜Ⅰ、(4)学校推薦型選抜Ⅱ、(5)デジタル人材選抜Ⅱ、(6)防災・復興人材選抜Ⅱの6つの選抜があります

KUGS特別入試の6つ 共通テスト
総合型選抜Ⅰ 課さない
総合型選抜Ⅱ 課す
学校推薦型選抜Ⅰ 課さない
学校推薦型選抜Ⅱ 課す
デジタル人材選抜Ⅱ 課す
防災・復興人材選抜Ⅱ 課す

超然特別入試はKUGS特別入試の一部ではなく、別の学生募集要項です。その中に次の3つが入ります。

超然特別入試の3つ 共通テスト
A-lympiad選抜Ⅰ 課さない
A-lympiad選抜Ⅱ 課す
超然文学選抜 課す

さらに女子枠特別入試、医学類・高大院接続入試[特別枠](研究医枠)、薬学類・高大院接続入試が別に用意されています。令和8年度にあった英語総合選抜Ⅱ(融合学域3学類)は令和9年度で廃止されました。

防災・復興人材選抜という枠がある国立大学は多くありません。実施学類は観光デザイン学類・学校教育学類・地域創造学類・地球社会基盤学類・保健学類(看護学専攻・診療放射線技術学専攻・医療検査技術学専攻の3専攻のみ。理学療法・作業療法は対象外)と、文理をまたいでいます。

A-lympiadは数学の課題探究型の国際大会です。その実績を入口にする選抜を設けているのも金沢大学の特徴です。

なお、学校推薦型選抜には学校長推薦が必要です。

小論文があるのは経済学類——TOEICと同じ配点

KUGS特別入試の多くは、教科・科目に係る個別テストを免除したうえで口述試験(プレゼンテーションを含む場合あり)で選抜します。小論文を課すのは限られています。

要項p.4の「実施学類・日程等」の一覧で、「小論文」欄に○が付くのは人間社会学域 経済学類だけです。他の学類はすべて口述試験(学校教育学類の美術のみ実技)です。

★そして令和9年度から、その経済学類の小論文入試が2本立てになりました。令和8年度は学校推薦型選抜Ⅰの1本だけでしたが、総合型選抜Ⅰ(募集5人)が新設されています。

総合型選抜Ⅰ(令和9年度 新設) 学校推薦型選抜Ⅰ
募集人員 5人 10人
小論文 100点 100点
英語 英語外部試験 100点(英検・GTEC・IELTS・TEAP・TOEFL iBT・ケンブリッジ英語検定から選べる) TOEIC(L&R)100点
口述試験 100点 100点
合計 300点 300点
評定 全体の学習成績の状況4.3以上 学習成績概評A段階以上(4.3以上)
専門教育科目20単位 不要 必要
学校長の推薦 不要 必要(1校2名以内)
既卒 2年前まで可 実質 現役のみ

この違いは大きいです。学校推薦型のほうは「専門教育に関する科目を20単位以上」という条件があるので、商業科・情報科などの専門学科向けの枠です。新設の総合型選抜Ⅰには、その条件も学校長推薦もありません。評定4.3以上という要件だけで、普通科からでも、既卒でも出願できます。

もうひとつの違いが英語です。学校推薦型はTOEIC(L&R)に限定されますが、総合型選抜Ⅰは英検などの外部試験から選べます。高校生が受けやすいのは明らかに後者です。

どちらも配点は3等分で、小論文・英語・口述がそれぞれ100点。英語の資格試験が「参考」ではなく配点そのものになっている例は多くありません。

どちらも、志願者が募集人員を大幅に上回ると出願書類による第1次選考が行われます(総合型選抜Ⅰは募集人員の2倍程度まで絞る)。結果は11月30日(月)に出ます。

小論文の中身

要項の記述が具体的です。

小論文:現代の文化・社会・経済に関する和文の資料を与え、出題された論題について800字程度で論述させます。 〈採点・評価基準〉小論文:現代の文化・社会・経済に関する和文を読解させ、「思考力・判断力・表現力」を評価します。

資料を読ませて800字。課題文型です。しかもテーマ領域が「現代の文化・社会・経済」と指定されています。この書き方は総合型選抜Ⅰ・学校推薦型選抜Ⅰで同じです。

試験は令和8年12月5日(土)、小論文9:30〜11:00、口述試験12:30〜。小論文は90分です。

課題文型の手順と800字の組み立て方がそのまま効きます。テーマの背景知識は頻出テーマの社会系・法経済系の記事で補ってください。

学校推薦型選抜Ⅰの出願要件は重い

経済学類の学校推薦型選抜Ⅰは、募集10人に対して要件が積み上がっています。

  • 出願資格①〜④(KUGS高大接続プログラム等)のいずれかに該当
  • 高等学校で専門教育に関する各教科・科目を20単位以上修得(見込み含む)
  • 学習成績概評がA段階以上(学習成績の状況4.3以上)
  • 出身学校長が責任を持って推薦できる者
  • 本学類への明確な志向と勉学の熱意
  • 合格した場合、入学を確約できる者
  • 推薦は1校につき2名以内

専門教育に関する科目を20単位以上という条件があるので、商業科・情報科などの専門学科を想定した枠だと読めます。普通科の人は、こちらではなく新設の総合型選抜Ⅰを見てください。必要なのは出願資格①〜④と評定4.3以上だけです。

どちらにしても、出願資格①〜④を満たすには高2までの動き出しが要ります。そこは変わりません。

多くの学類は口述試験——日程は12月と2月

令和9年度の選抜期日を見ると、口述試験の実施が中心です。選抜期日は令和8年12月5日(土)(医学類だけ令和9年2月7日(日))。

学域・学類 試験
融合学域 先導学類・観光デザイン学類・スマート創成科学類 口述試験(プレゼンテーションを含む)12:30〜
人間社会学域 人文学類 口述試験 12:30〜
法学類・地域創造学類 口述試験 9:30〜
学校教育学類(石川県みらい創生枠・保健体育・家政・特別支援) 口述試験 9:30〜
学校教育学類[教科・免許状枠]美術 実技 9:30〜11:30 + 口述試験 12:30〜
理工学域 数物科学類・物質化学類・機械工学類・フロンティア工学類 最終選考 口述試験 9:00〜
地球社会基盤学類 口述試験 9:00〜
電子情報通信学類・生命理工学類 最終選考 口述試験(プレゼンテーションを含む)9:00〜
医薬保健学域 医薬科学類 最終選考 口述試験 9:00〜
医薬保健学域 医学類 令和9年2月7日(日) 最終選考 口述試験 9:00〜

実技があるのは学校教育学類の美術だけです。保健体育・家政・特別支援は口述試験のみで、実技はありません。

医学類だけ日程が2月で、他は12月です。共通テストの結果を待つ設計になっています。医学類は出願期間も違い、令和8年12月16日(水)〜22日(火)。他の学類の11月2日〜9日とは1か月以上ずれるので、併願を考えるときは必ず分けて確認してください。

出願はWeb限定で、出願システムの事前登録は令和8年10月26日(月)9時から始まります。書類は書留速達で11月9日(月)必着です。

★日程でもう1つ注意があります。選抜期日は志願者が募集人員を大幅に上回ると12月6日(日)にも実施されることがあり、確定するのは11月16日(月)15時。大学の入試日程ページに掲載されるので、出願後に必ず見てください。

「口述試験」であって「面接」ではない、という言葉の使い分けにも注意してください。志望動機を語るだけでなく、学問分野についての質問に答える前提です。プレゼンテーションを含む学類では、プレゼン型入試の対策も併せて読んでください。

国公立の推薦は1つだけ、という原則

要項の備考欄に、他大学と同じ注記があります。

国公立大学の学校推薦型選抜(大学入学共通テストを課す場合・課さない場合を含めて)に出願することができるのは、1つの大学・学部(学域・学類)に限ります。

東大、京大、神戸と同じです。金沢大学に出すなら、他の国公立の推薦には出せません。

そして金沢大学の場合、出願資格を取るために高2から準備することになります。途中で志望校を変えると、積み上げたものが使えません。この点は他大学より重い判断になります。

何から始めるか

順番が他大学とはっきり違います。

  1. 高校2年生の9月を目安に、KUGS高大接続プログラムのポータルサイトからエントリーする
  2. 課題レポート「高校での学び」を提出し、評価を受けるサイクルに入る
  3. 志望学類を決め、選抜の種類(総合型Ⅰ/Ⅱ、学校推薦型Ⅰ/Ⅱ、デジタル人材、防災・復興人材ほか)を確認する
  4. 共通テストが要るかを確認する(Ⅰは課さない、Ⅱは課す)
  5. 経済学類の学校推薦型選抜Ⅰを狙うなら、TOEIC(L&R)と専門科目20単位、評定4.3以上を早期に確認する
  6. 多くの学類は口述試験。学問分野について問われる前提で準備する

金沢大学のKUGS特別入試は、総合型選抜の全体像のなかでも準備期間がもっとも長い部類です。東大の校内推薦枠や一橋の資格要件と同じく「出願にたどり着くまでが勝負」ですが、金沢大学の場合は大学が用意したプログラムに参加して評価を受けるという形をとります。

裏を返せば、高2から動ける人には、大学とやり取りしながら準備できるという利点があります。課題レポートを出して評価が返ってくる仕組みは、探究活動を進めるうえでも使えます。

出願の1年以上前から始まっている入試だと考えてください。

同じ構造は上越教育大学のⅠ型にもあります。新潟次世代教員養成プログラム(前期)の修了者しか出願できないため、高2のうちに動く必要があります。北陸のほかの国立大学は富山大学、福井大学、山梨大学にまとめました。

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